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2024年、東アジア市場の変化を読み解く。 インバウンド完全復活の裏側と次への布石

前回の記事では、日本のインバウンド市場が2024年、過去最高の訪日外国人数を記録し、“回復”ではなく”新たな成長局面”に入ったことをお伝えしました。

今回は、その成長を最も強力に支えた東アジア市場(中国・韓国・台湾・香港)に絞り、なぜ彼らの行動パターンが「地方」や「体験」へと一段とシフトしたのか、より深く探ります。

1. まず押さえておきたい基本 2024年の東アジア市場

国・地域 訪日客数(年間) 前年比 傾向
中国 約776万人 +460%超 団体旅行復活、個人旅行の質的変化
韓国 約758万人 +28% 短期滞在+地方都市への周遊拡大
台湾 約572万人 +47% 体験型志向のリピーター層が主流に
香港 約279万人 +34% 都市滞在と地方体験の両輪化

これらの国・地域はいずれも、
「訪日回数が増えるほど都市部以外へ向かう」
「消費行動が深化する」という共通傾向を見せ始めています。

2. いまさら”モノ→コト”では説明できない本質

「モノからコトへ」の消費シフトは、すでに周知の事実です。
しかし、2024年の東アジア市場には、それだけでは説明できない二重構造がありました。

【第一の変化】 “知識消費”へのシフト

ただ体験するだけではない、
「その背景を知りたい」「ストーリーを感じたい」という
知識・意味への欲求が高まったのです。


• 着物体験 → 着物の歴史や地域差をガイド付きで知りたい
• 温泉宿泊 → その地域の温泉文化・食文化も一緒に学びたい
• 神社参拝 → 神道や地域史を理解した上で参拝したい

つまり、「体験するだけでは満足しない」層が増えました。

【第二の変化】 “サステナブル消費”への志向

特に台湾・韓国・香港では、
エコツーリズムや地域共生型ツアーへの関心が目立ちました。


• 屋久島のエコガイド付きトレッキング
• 和歌山でのローカル農業体験
• 奈良での伝統保存活動への参加型ツアー

これらは単なる「自然体験」ではなく、
「持続可能性への共感」や「地域への貢献意識」を伴う旅行スタイルです。

3. なぜこのような深化が起きたのか?

ここが今回、最も深堀りすべき核心です。
要因は単純なものではなく、複合的に絡み合っています。

(1) 訪日回数の増加による「新たな刺激」への欲求

→ 初訪日客が減り、2回目、3回目以降のリピーターが中心に。
→ 都市部だけでは刺激が足りず、より本質的な日本理解を求めるようになった。

(2) コロナ禍で「人間中心の価値観」へシフト

→ 健康、自然、持続可能性、文化的つながりといった要素が、
 旅先選びにおいて重視されるようになった。

(3) 各地域のプロモーションの進化

→ 体験型・サステナブル型の観光素材が充実し、
 「行きたくても行けなかった地方」が行きやすくなった。

4. これから東アジア市場とどう向き合うか?

【提言①】ただの”体験”では不十分。「意味体験」へ進化を
• 物語性・地域史・持続可能性を絡めた体験設計が重要。
• 「〇〇するだけ」のツアーは飽きられるリスクが高い。

【提言②】サステナブルを「価値」として明確に打ち出す
• 環境配慮型施設、ローカル経済貢献ツアー、地域資源活用型宿泊など、
旅を通じた「参加型サステナブル」を前面に。

実例

【和歌山県・白浜温泉】
→ 韓国・台湾からのリピーターが、ただ宿泊するだけでなく「温泉の起源」や「湯治文化」を学べるツアーへの参加が増加。

【奈良県・飛鳥エリア】
→ 台湾・香港からの訪日客が、単なる寺社巡りではなく、「飛鳥時代体験プログラム(古代衣装体験+歴史ガイド付き)」に高い評価。

【鹿児島県・屋久島】
→ 台湾・香港市場を中心に、単なる観光ではなく「エコツアーガイド付きの屋久杉トレッキング」が急増。

こうした動きは、単なる「観光地巡り」ではもはや満足しない層が、確実に増えていることを裏付けます。

5. 東アジア市場は、インバウンドの未来を先取りしている

2024年の東アジア市場が見せた変化は、
単なる「回復」でも「モノ→コト」でもありません。

それは、「意味」「共感」「サステナブル」を重視する
次世代型旅行スタイルの先行モデルでした。

ここをどう捉えるかで、
万博後の日本のインバウンド成長曲線は大きく変わります。


【次回予告】

次回は、
「なぜ2024年、欧米豪市場も爆発的に伸びたのか?」
を徹底的に掘り下げます。

アメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリス…。
東アジアとは異なる理由で訪日客が急増した背景には、
実は”日本側の新たな強み”がありました。

こちらも、
・モノだけではない
・体験だけでもない
・「別の理由」がありました

ぜひ次回もお楽しみに!

【参考出典】
• 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計 2024年 年間速報」
• 観光庁「訪日外国人消費動向調査(2024年上半期・四半期別)」
• 各地域自治体観光局発表データ(和歌山、奈良、屋久島観光局など)
• 業界ニュース:「訪日外国人の体験消費トレンド」(2024年版)


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