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clears(クリアズ)調査

2030年6000万人は本当に現実か ― 数字の裏側と、いま進んでいる政策の中身 ―

第1弾では、2025年の訪日客数が約4,270万人まで伸びた理由を整理しました。

第2弾では、2026年は伸び続ける可能性と踊り場リスクが同時にあること、中国市場がそのカギを握ることをお伝えしました。

そして最終回となる今回は、政府が掲げる

「2030年・訪日6000万人目標」

について考えます。

6000万人という数字は、単なる延長線上の目標なのか。
それとも、観光産業の構造そのものを変える前提の数字なのか。
数字だけをではなく、現場目線で現実性を見ていきます。

目次

  • 1. 6000万人はどれくらい高い目標なのか
  • 2. 6,000万人に必要な4つの条件
  • 3. 政府は何をしているのか
  • 4. 現実的な到達ラインはどこか
  • 5. 本当に問われているのは「人数」か
  • 6. 観光・宿泊事業者はどこを見るべきか

  • 1.  6000万人はどれくらい高い目標なのか

    まずは数字を整理します。
    • 2019年:約3,188万人
    • 2025年:約4,270万人
    • 2030年目標:6,000万人

    2019年から2025年までで増えたのは約1,100万人。
    2030年までに必要なのは、さらに約1,730万人です。

    つまり、これまで積み上げてきた増加分をもう一度作る必要があります。

    ここで重要なのは、同じやり方では届かないというところです。

    円安や反動需要のような一時的な追い風だけではなく、
    航空・宿泊・人材・地域分散まで含めた構造的な変化が前提になります。


    2.  6,000万人に必要な4つの条件

    6000万人に届くかどうかは、需要よりも供給の問題になります。

    ① 航空座席の拡張

    今でも繁忙期は座席が埋まり、地方空港の受入能力にも限界があります。
    国際線枠の拡張や地方空港の活用が進まなければ、物理的に伸びません。

    ② 宿泊と人材

    都市部ではすでに客室単価が高騰し、人手不足が続いています。
    客室数の増加、外国人材の活用、DXによる省人化が進まなければ、6,000万人規模は受け止めきれません。

    ③ 市場の分散

    中国だけで人数を押し上げる時代ではありません。
    欧米豪、ASEAN、韓国・台湾などの多極化が前提になります。

    今の構造はすでに「中国依存型」から「分散型」へ移行しています。
    6,000万人はその完成形です。

    ④ 地方への分散

    都市集中のままでは限界が来ます。
    二次交通整備、地方観光地の再生、地方空港の強化が不可欠です。


    3.  政府は何をしているのか

    もちろん、政府は目標を掲げているだけではありません。
    現在の政策は、大きく4つの方向に整理できます。

    ①高付加価値旅行者の誘致

    観光庁は「人数」よりも「単価」を重視する方向を明確にしています。
    富裕層や長期滞在層を増やし、消費額を伸ばす狙いです。

    ②地方分散の推進

    地方空港の活用や観光地再生、DMO支援などを通じて、都市集中の緩和を進めています。

    ③万博レガシーの活用

    2025年大阪・関西万博を起点に、関西から周辺地域へ流れを広げる政策が進んでいます。

    ④観光業のDX支援

    人手不足への対応として、宿泊・観光業のデジタル化支援が進められています。

    全体としては、「無理に人数を増やす」よりも
    受け皿を整えながら質を上げる方向に動いていると言えます。


    4.  現実的な到達ラインはどこか

    2030年に6,000万人に届く可能性は十分にあります。

    ・中国が完全回復
    ・欧米豪がさらに拡大
    ・航空供給が増加
    ・地方分散が機能

    これが同時に進めば届きますが、

    ・供給制約
    ・人材不足
    ・為替変動
    ・地政学リスク

    を考えると、5,300万〜5,700万人あたりに収まる可能性もあります。

    6,000万人は射程圏内ではありますが、自然に到達する数字ではありません。


    5.  本当に問われているのは「人数」か

    ここは現場にとって最も重要な視点です。

    4,000万人台で利益が出ない形のまま、6,000万人を目指しても意味がありません。

    問われているのは、

    ・単価は上がっているか
    ・地方に波及しているか
    ・持続可能な受入体制か

    です。

    人数は結果であって、目的ではありません。


    6. 観光・宿泊事業者はどこを見るべきか

      これからの現場で重要になるのは、「どのくらい増えるかどうか」ではなく
      どの市場を取るのかです。

      欧米豪:利益を作る市場

      滞在日数が長く、地方にも動く。
      単価設計を考える上で中心になる層です。

      ASEAN:中長期で伸びる市場

      若いFITやリピーターが増えています。
      価格帯と体験のバランス設計が鍵になります。

      中国:依存しすぎない

      戻ればインパクトは大きいですが、変動要因でもあります。
      前提にしない戦略が現実的です。

      これからは「客数が増える前提」で考えるのではなく、
      誰に何を提供するかを明確にする時代です。


      まとめ

      2019年:3,188万人
      2025年:4,270万人
      2030年目標:6,000万人

      この差は単なる人数の差ではありません。

      航空、宿泊、人材、市場分散。
      すべてが一段階上に進む必要があります。

      6,000万人は夢物語ではありません。
      しかし、「今の延長」で届く数字でもありません。

      これからは、客数の議論よりも、
      どんな客を、いくらで、どのように迎えるか。

      その設計力が問われる時代に入っています。


      参考資料

      ・観光庁「訪日外国人消費動向調査」
      ・日本政府観光局(JNTO)「訪日市場データ」


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