インバウンド
2026年、インバウンドはどこまで伸びるのか~中国減少の影響と“次の踊り場”を読む~
前回の記事では、2025年の訪日客数が約4,270万人まで伸びた背景を、
「表層要因・構造要因・ブランド要因」の3層構造で整理しました。
2025年は円安や航空便回復だけでなく、
欧米豪の長期滞在層や富裕層が本格参入し、日本が“滞在型旅行先”として選ばれ始めたこと。
今回の増加は単なる「回復」ではなく、
市場の質そのものが変わった結果の成長 でした
この構造変化こそが、4200万人という数字の本質でした。
では次に気になるのは、
「2026年はさらに伸びるのか。それとも踊り場に入るのか。」
ここからは、観光事業者にとって最も重要な話になります。
実は2026年は、
伸び続ける可能性と、踊り場に入る可能性の両方が同時に存在する年 だからです。
今回はその「分岐点」を、中国市場を軸に読み解きます。
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目次
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1. 2026年は「伸びる力」と「減速要因」が同時に存在する
まず前提として、訪日市場は今も「追い風」が多い状態です。
【プラス要因】
・円安水準の継続
・欧米豪の拡大トレンド
・ASEANの所得上昇
・万博・地方観光投資の加速
・リピーター増加
一方で、見落とされがちな「減速要因」もあります。
【マイナス要因】
・航空座席供給の頭打ち
・都市部ホテル価格の高騰
・人手不足による受入制限
・一部市場(特に中国)の不透明感
つまり2026年は、
需要はあるのに、供給と市場構造が追いつくかどうか
ここが勝負になります。
2. 最大の変数:中国市場は戻るのか
2026年の最大のカギは間違いなく中国です。
前回整理した通り、
・2019年:中国 約959万人
・2025年:約909万人(-5%)
主要市場で唯一、コロナ前水準に戻っていません。
訪日全体が過去最高なのに、中国だけまだ約50万人分が未回復です。
この差は客数全体の1%強に過ぎませんが、消費額にすると約1,000億円規模に相当します。
これは裏を返すと、
つまり中国は「トレンド市場」ではなく、
短期で全体を上下させる“変動要因” です。
2026年は、中国が伸びれば上振れ、横ばいなら鈍化。
訪日全体の方向性は、ここでほぼ決まります。
3. 中国が戻らない場合、何が起きるか
まず現実的なシナリオとして、
「中国が横ばい、または微増に留まる」
可能性は十分あります。
理由は3つです。
① 国内旅行シフト
中国政府は内需拡大を重視しており、国内観光消費が優先されやすい構造です。
② 経済減速・可処分所得の鈍化
中間層の海外旅行回数がコロナ前ほど伸びない傾向があります。
③ 団体旅行モデルの縮小
FIT(個人旅行)化が進み、以前の「爆発的団体流入」は起きにくい
つまり、
“量で押し上げる時代”は終わりつつある ということです。
この場合、訪日全体は
・欧米豪+ASEANで緩やかに増える
・ただし中国の大幅回復はない
結果として
微増〜横ばい(4,300〜4,500万人台)
このあたりで一度「踊り場」に入る可能性が高いです。
4. 逆に、中国が戻った場合のインパクト
仮に中国が2019年水準まで回復しても、増加は最大+約50万人。
全体では+1%強にとどまります。
客数だけ見れば、訪日が劇的に伸びる水準ではありません。
ただし中国は
・都市集中
・買物消費型
・短期大量消費
という特徴があり、都市ホテルや商業施設の売上への影響は大きい市場です。
結論として、中国は
「人数」ではなく「消費」にブーストをかけます。
ただし、これは“戻れば”の話であり、確度は高くありません。
現時点では「期待値」として見るのが妥当です。
5. 2026年に起きやすい“踊り場”の正体
2026年は
「客数が減る」のではなく
「伸び率が鈍化する」
可能性が高い年になります。
理由はシンプルで、
・コロナ反動の終了
・航空供給の限界
・宿泊単価上昇による価格抵抗
つまり、
需要より供給制約の方が先に当たるフェーズに入ります。
これは市場が成熟し始めたということです。
回復期 → 成長期 → 調整期
ちょうど「成長期の終盤」に差し掛かっているイメージです。
6. 観光・宿泊事業者はどこを見るべきか
ここからは実際の観光現場の話です。
2026年は「客数予想」よりも、どの客層を取るかこれが最重要になります。
ポイントは3つです。
① 単価の高い欧米豪
滞在長・高消費・地方分散
→ 利益率が最も高い層
② 伸び続けるASEAN
若年層FIT・リピーター
→ 中長期的な安定市場
③ 中国は“戻ればラッキー枠”
依存しすぎない戦略が現実的
つまり、
「量を追う」より
「質と単価を設計する」
この思考に切り替えられるかどうかが、今後の行方を分けます。
7. まとめ
2025年の訪日は、約4,270万人という過去最高の水準に到達しました。
しかし2026年は、単純な延長線上の「右肩上がり」にはなりません。
整理すると、構造はこうなります。
・欧米豪とASEANは引き続き増える
・中国は回復余地があるが、不確実性が高い
・需要は強いが、供給(航空・宿泊・人材)が制約になり始める
つまり、
「まだ伸びる市場」ではあるが、「簡単に伸びる市場」ではなくなるフェーズに入ります。
これは回復期の終わりであり、成熟期の始まりとも言えます。
これまでのように「客数が勝手に増える時代」から、
・どの市場を取るのか
・どの単価帯を狙うのか
・どんな滞在体験を提供するのか
といった、設計力と戦略で差がつく時代に変わりつつあります。
言い換えれば、
2026年は「量の拡大競争」ではなく
「質の最適化競争」への転換点 です。
次回はシリーズ最終回(第3弾)として、
・政府の2030年6000万人目標は現実的なのか
・達成シナリオと前提条件
・本当に必要な投資は何か
政策と市場構造の両面から、より長期視点で整理します。
参考資料
・観光庁「訪日外国人消費動向調査」
・日本政府観光局「訪日市場データ」
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