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訪日外国人の消費が二極化している——大阪・神戸の小売・飲食は今何をすべきか

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訪日消費の二極化が進んでいる——大阪・神戸の小売・飲食は今何をすべきか

道頓堀で5年間、外国人旅行者を見てきた雑貨店オーナーが今夏に漏らした一言——「お客さんは増えた。でも売上は増えてない。」あなたの店でも、同じことが起きていませんか?

この感覚、今の大阪・神戸の小売・飲食業界で、けっこう広く共有されているんじゃないかと思います。訪日客の数は増えている。でも手元に残るお金は増えていない。その違和感の正体を追いかけると、2026年の訪日消費に起きている「分断」が見えてきます。

あなたの店の隣のドラッグストアは混んでいるのに、自分の店だけ素通りされている——そんな光景に心当たりはありませんか。これは立地でも価格設定でもなく、客層が入れ替わっている問題です。

「外国人が来ている」のに売上が伸びない——その違和感の正体

JNTOの月次推計によれば、2026年上半期の訪日外客数は前年同期比で約25%増。累計で3,200万人を超えるペースで推移しています(出典:JNTO「訪日外客統計」2026年6月確報、https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/、2026年8月取得)。数字だけ見れば、インバウンド消費は絶好調のはずです。

ところが、大阪・梅田の路面店や、神戸・三宮の飲食店の声を聞いていると、「増えた」と実感している事業者と、「来てはいるけど買ってくれない」と感じている事業者に、はっきり分かれてきているんです。

訪日客全体の数が増えているのに、消費がそこに比例して伸びていない業態がある。なぜか。答えは単純で、「来ている人」の中身が変わってきているからです。訪日外国人という大きな括りの中で、消費行動が二つの層に分かれ始めている。それがいま起きていることの正体です。

2026年上半期の購買データが示す二極化の実態——何が、どう分かれているか

観光庁が公表している「訪日外国人消費動向調査」(2026年1〜3月期)をもとに読み解くと、訪日1人あたりの旅行消費額は全体平均として前年比で増加傾向にある一方、その分布のばらつきが大きくなっています(出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2026年1〜3月期、https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html、2026年8月取得)。

平均値が上がっていても、それは「みんな少しずつ多く使っている」わけではなく、「一部の人が大きく使っている」ことで数字が押し上げられているケースです。実態は、高消費層と低消費層のあいだに挟まれた中間層が薄くなっていく「砂時計型」の分布に近づいています。

具体的に何が変わっているかというと、宿泊費・体験・買い物の三つで傾向がはっきり出てきています。宿泊費は上位層で1泊3万〜5万円台の選択が増え、下位層ではゲストハウスや民泊への集中が強まっています。買い物では、百貨店の高額品と100円ショップ・ドラッグストアに客足が分散しており、1万円台の「ちょっといい土産物」の客数が減っているという声を、大阪・心斎橋エリアの店舗からよく聞くようになりました。

この分断は、ホテルの清掃オペレーション現場にも数字として現れています。Clearsが関与する大阪・梅田エリアの上位クラスホテル(2棟・客室数計180室)では、2025年通年と2026年上半期を比較すると、1室あたりの清掃所要時間が平均で約12%増加しています。客室内のアメニティ消費量・ゴミ量・リネン汚損率がいずれも上昇しており、これは宿泊客の滞在密度と消費行動が濃くなっていることを示しています。一方、同時期に清掃を請け負った格安ビジネスホテル・ゲストハウスカテゴリ(3施設)では清掃所要時間の変化はほぼ横ばいで、回転数(チェックアウトからチェックインまでの清掃対応件数)のみが前年比で約18%増加しています。同じ「外国人が泊まっている」状態でも、現場が対応している消費密度はまったく異なる——これがオペレーション側から見た二極化の実態です(データ出典:Clears社内オペレーションログ、2025年1月〜2026年6月、対象物件は大阪市内5施設)。

高付加価値層はどこにいて、何に使っているか——百貨店・体験消費・一泊単価の変化

高付加価値層の動きを追うと、消費の場所がかなり絞られてきているのが分かります。大阪なら心斎橋筋の大丸心斎橋店・高島屋大阪店・ルクアイーレ周辺。神戸なら大丸神戸店や北野の有名ホテル周辺。いわゆる「ラグジュアリーゾーン」への集中が進んでいます。

この層が特徴的なのは、モノよりも「体験」にお金を使うようになっているという点です。着物レンタルで嵐山・竹林を歩く体験や、神戸・北野の旧外国人住宅をプライベートガイドと巡るツアーなど、「同じ場所に行っても人とは違う体験をしたい」というニーズが強い。価格は1人1〜2万円台でも、内容がきちんと設計されていれば購入率は高いんです。

宿泊単価にも変化が出ています。大阪・梅田から徒歩圏内の上位クラスのホテルでは、2026年の週末ADR(平均客室単価)が2万5千円を超える日が増えており、一部のプレミアムルームは平日でも3万円台で動いています(出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」2026年1〜6月、https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/shukuhakutoukei.html、2026年8月取得。数値は同調査および各ホテル公開情報をもとにした推計)。この層は1泊の単価を気にするよりも、立地・サービスの質・非日常感を優先して選ぶ傾向があります。

節約層の行動パターンと、彼らが落とすお金の使いどころ

一方で、もう一方の層——旅費を徹底的に抑えながら旅している訪日客の数も、明らかに増えています。東南アジア・南アジア圏からの若年層や、欧米からのバックパッカー型の旅行者がこれにあたることが多く、宿泊はゲストハウスや格安ビジネスホテル、食事はコンビニや立ち食い、移動はICカードで乗り放題という行動パターンが典型的です。

この層が使うお金の総額は確かに少ない。でも、特定の場所には驚くほど集まります。大阪でいえば、道頓堀のたこ焼き店・551蓬莱・黒門市場の食べ歩き。神戸なら南京町の肉まん・元町の老舗洋菓子店。「旅行メディアで見た、あの店」を目当てに1〜2時間並ぶことも珍しくない。情報の出どころはほとんどTikTokかInstagramで、英語・中国語・韓国語のバイラル投稿が集客源になっています。

この層に向けて「高い商品を売ろう」としても動きません。ただ、客単価が低くても回転数で稼げる構造があれば、集客源としては非常に安定しています。「SNSで拡散されやすいビジュアルがあるか」「並んでいる様子を見せられるか」——そこが彼らが来るかどうかの分岐点になっています。

分断が進む市場で、小売・飲食事業者はどちらを向けばいいか——二択ではなく「設計」の問題

「じゃあ高付加価値層に絞ればいいのか」「節約層は無視していいのか」——この問いの立て方自体が、少し違うと思っています。

二極化が進んでいる市場での正解は、どちらかを選ぶことではなく、「自分の店・施設はどの層に対してどういう接点を持っているか」を設計し直すことです。

たとえば大阪・心斎橋のある雑貨店が高付加価値層に向けた商品展開をしたいなら、価格帯を上げるよりも先に「なぜこの値段なのか」が伝わる情報設計が必要です。英語・中国語の商品説明、素材や職人の背景をひと言添えるPOP、QRコードで読める製造元の物語——この層は「意味があるモノ」に対してはお金を出しますが、ただ値段が高いだけのモノは素通りします。

節約層に向けた接点を持ちたいなら、やるべきことはSNS上に「撮りたい絵」を作ることです。Google マップの写真を更新する、Instagramのタグ付け投稿を店頭で促す、英語で「photo spot」と書いた小さなサインを置く。費用はほぼゼロで、効果は長く続きます。

どちらを「選ぶ」かではなく、どちらの層に対してどんな動線を設計するか——それが今、事業者に問われていることだと思います。

どちらの層も取りこぼさないために——今すぐできる接点の見直し方

最後に、今日から動けることを整理しておきます。

高付加価値層への接点強化で最初にやるべきは、Google ビジネスプロフィールの英語・繁体字情報の見直しです。観光客が事前に検索したとき、写真の質と口コミの量・言語が「入っていい店かどうか」の判断基準になっています。心斎橋・三宮・梅田エリアの店舗なら、英語対応の口コミへの返信が積み上がっているかどうか、一度確認してみてください。

節約層への接点強化で先にやることは、TikTokとInstagramの「タグ付け環境」を整えることです。店名の英語表記・英語のハッシュタグ・撮影スポットの明示——この三つが揃っていない店は、バイラル拡散の土台がない状態で戦っていることになります。

そして両方の層に共通してやっておくべきことが一つあります。決済手段の拡充です。Alipay・WeChat Pay・Visa/Mastercardのタッチ決済に対応していない店は、購入意欲がある客を入口で取りこぼしています。大阪・神戸のインバウンド需要が伸びている今、ここの整備が追いついていない小規模店舗はまだ多い。

訪日外国人が「増えている」と「売上が伸びている」がイコールにならない時代が、もう始まっています。数を追いかけるよりも、自分のところに来た人に何ができるかを問い直す——その順番を変えるだけで、同じ人流の中から引き出せる売上はかなり変わってくるはずです。

まとめ

  • 2026年上半期、訪日客数は前年比+25%成長だが、消費は高付加価値層と節約層に二極化が進んでいる
  • 高付加価値層は体験消費・百貨店・高単価ホテルに集中し、「意味のあるモノ」への購買意欲が高い
  • 節約層はSNS起点で特定店舗に集中し、回転数と情報拡散力が鍵になる
  • Clearsの現場データでは、上位クラスホテルの清掃所要時間が前年比約12%増・格安施設では清掃回転数が約18%増と、二極化がオペレーション負荷の違いとして数字に出ている
  • どちらかを選ぶのではなく、各層への「動線設計」を見直すことが今の事業者に求められている
  • 英語対応の口コミ・タグ付け環境・決済手段の三点が、どちらの層にも共通する基盤整備になる

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ホテル・宿泊施設の担当者の方へ——二極化する訪日客の消費行動が清掃オペレーションにどう影響するか、Clearsの現場事例をまとめた資料を公開しています。清掃オペレーション事例ページを見る →

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プレスウォーカー記事:https://presswalker.jp/press/48262

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