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夜の時間が観光都市を決める ― ナイトタイム・エコノミーという戦略(完結編)

観光における「夜の時間」が、いま大きな注目を集めています。前回は、“夜こそがこれからの観光の主戦場になるのでは?”という問いを軸に、ナイトタイム・エコノミーの可能性を探りました。

今回はその後編として、「では実際に、どうすれば“夜の観光”を日本で現実のものにできるのか?」を深掘りしていきます。立ちはだかる課題と、それを超えるヒント、そしてその裏にある“データと研究”の視点もあわせてお届けします。


ユカ「“夜の観光がゴールデンタイムになる”って話、すごくワクワクしたんです。でも…いざ考えてみると、どう動いていいか分からないというか……今の自分には関係ないって思っちゃうんですよね」

タカハシ先生
「その感覚、すごく自然だよ。でも、“夜の時間ってもっと面白くできない?”って思った人の手からしか夜の観光は始まらないんだ」

ユカ
「とはいえ、実現するのってそんなに簡単じゃないですよね?」

タカハシ先生
「簡単ではない。だからこそ、可能性もある。現実には3つの大きな壁がある」

ユカ
「3つの壁?」

タカハシ先生
「まず、“誰がやるのか問題”。夜の空間って、行政・交通・住民との調整が必要。でも旗を振る人が見えにくい」

ユカ
「たしかに…イベント会社や施設だけでは回らないですよね…」

タカハシ先生
「2つ目は“儲けにくい問題”。夜のイベントは人件費も警備も高くつき、集客が読みにくい」

ユカ
「じゃあ…儲からないのにやる意味あるんですか?」

タカハシ先生
「“仕組み”を設計すれば、夜でも利益は出せる。回遊→宿泊→購買という流れが鍵だよ」

ユカ
「3つ目は…?」

タカハシ先生
「“暮らしとの共存問題”。夜の活動が騒音・混雑・治安不安を生むと、すぐにクレームになる。観光の夜と住民の夜をどう分けるかがカギ」

ユカ
「観光客だけが得してるって見られたら、続かないですよね」

タカハシ先生
「だから“大切なのは、夜をどう設計するか”と“誰が設計するのか”なんだ」

ユカ
「具体的には、どんなアプローチがあるんですか?」

タカハシ先生
「実現には5つの視点がある。ひとつずつ行こう」

実現の5つの視点

① 空間設計から始める

ユカ
「“夜の設計”って、照明とかですか?」

タカハシ先生
「そう。それだけじゃなくて、“夜の動き方”そのものをデザインするんだよ。
暗くて歩きにくい場所に照明を置くだけでも、人は安心して歩けるようになる。
たとえば京都の小径や台湾の夜市みたいに、“歩くだけで楽しい空間”が夜にできるんだ。」

ユカ
「ただ明るくするだけじゃなくて、夜でも歩きたくなる場所にする、ってことなんですね。」

タカハシ先生
「そう。光の強さや色、足元の明るさ、風景の見え方。
細かいことだけど、夜の体験は“空間の心地よさ”でほぼ決まるんだ。」

② 点ではなく面で作る(回遊性

ユカ
「1つのイベントだけじゃダメなんでしょうか?」

タカハシ先生
「イベントだけだと“行って終わり”。
観光客は30分〜1時間で満足してしまうから、その後にすることがなくなるんだ。」

ユカ
「確かに、夜って“次にどこ行こう?”が難しいですよね。」

タカハシ先生
「その通り。だから“流れ”を作る。
例えば──
夜市 → ライトアップ → ナイトミュージアム → 宿での体験
こんな風に“1→2→3”と動けるルートがあると、滞在時間も満足度も上がる。」

ユカ
「“点”じゃなくて“面全体で夜を作る”ってそういうことなんですね。」

③ 派手さだけでなく、静かな夜も魅力になる

ユカ
「花火とかDJイベントがないと、人って来ないんじゃ…?」

タカハシ先生
「実は逆で、“静かな夜”を求める人はすごく多い。
海外でも、激しいアクティビティより“静けさ”を売りにした夜コンテンツが伸びてる。」

ユカ
「例えば、どういうものですか?」

タカハシ先生
「棚田や森のライトアップ、夜のヨガ、焚き火を囲んだナイトトーク、古民家でのナイトティー体験…。
どれも派手じゃないけど、‘夜だからこそ’の魅力がある。
特に海外客は、“日本の静かな夜”に感動するんだ。」

④ プレイヤーは“個人”ではなく“地域チーム”

ユカ
「結局、誰が動くんですか? 企業? 行政?」

タカハシ先生
「夜は“一人では作れない”。
観光協会、行政、交通、商店街、宿泊施設…
みんなが“夜をどう回すか”を一緒に考えて動く必要があるんだ。」

ユカ
「海外では“ナイトメイヤー”っていうんですよね?」

タカハシ先生
「そう。街の夜をコーディネートする“夜の市長”みたいな役割。
安全、照明、交通、イベント、公園の活用、全部を横断的に見て動く人。
日本にも必要だけど、まだほとんど整っていないのが現状だね。」

⑤ 観光客の声から始める

ユカ
「観光客って夜に何を求めてるんですか?」

タカハシ先生
「データでは“夜にすることがない”“すぐ店が閉まる”という声が多い。
一方で、“夜の体験が一番の思い出になった”という声も同じくらい多い。」

ユカ
「夜の体験って、それだけ印象が残りやすいんですね。」

タカハシ先生
「そう。“昼とは違う顔の街”を見られることが、大きな価値になる。
だから最初にすべきは、
“観光客が夜に何を求めているのか”を聞くこと。
そこから設計を始めれば失敗しない。」

ユカ
「たしかに…やること多くて難しそう…って思ってたけど、いろんな可能性が見えてきました」

タカハシ先生
「そう。ナイトタイム・エコノミーはロマンではなく“都市戦略”なんだ。でも、その実現には“夜の時間に誰が責任を持つか”が問われてくる」

ユカ
「誰が旗を振るのか、ですね」

タカハシ先生
「そう。そして一番重要なのは、“自分には関係ない”と思ってる人が、“そろそろ動いてみようかな”と思える環境を作ること。その最初の一歩は、“夜の時間に何かできないか”と考えることから始まる」

ユカ
「夜の観光って、特別な人が始めるんじゃなくて、街に関わる全員の想像力から生まれるのかもしれませんね」

タカハシ先生
「まさに。“夜”を変えられるのは、“夜に動く意思”を持った人たち。だから、次に夜を動かすのは──あなたかもしれないね」


📝まとめ
• 夜の観光の実現には「空間設計」「面としての回遊性」「静かな夜の体験」「地域チームの存在」「観光客ニーズ」がカギ。
• 最大の課題は「誰が夜の責任者になるのか」。
• 観光事業者・行政・交通・商業者が連携しない限り、夜の再起動は始まらない。
• でも最初の一歩は、「夜の時間に何かできるかも」と思うことから。


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