大阪万博
【観光事業者必見】2025年の大阪・関西万博をどう乗り越える!?2024年インバウンド市場から見える次の勝機は?
2024年、日本のインバウンド市場に関して
訪日外国人数は過去最多の3,686万9,900人(速報値)を記録し、パンデミック以前の2019年(3,188万人)を大きく上回りました。
しかし、この数字の裏側には「偏り」と「課題」が見え隠れしています。2025年4月、ようやく大阪・関西万博がスタートした今、観光業に携わる私たちが2024年から何を学び、次にどう活かすべきかを冷静に見直すタイミングに来ています。
今、なぜ2024年を振り返るのか
2025年4月、大阪・関西万博が開幕し、日本の観光業界はかつてない国際的注目を集めています。各地のホテルや観光施設では来訪者対応が本格化し、現場は多忙を極めています。
しかしこのタイミングこそ、2024年のインバウンド動向を冷静に振り返り、次の施策を戦略的に再構築すべき重要な時期でもあります。
なぜなら、2024年は訪日外国人数・旅行消費額ともに過去最高を記録し、日本の観光市場が“ポストコロナの再成長期”に入ったことを示す転換点となったからです。
加えて、現時点(2025年春)では、各四半期の動向や地域別の構成変化、人気観光地の移り変わりなどの確定データが出揃ったため、数値に基づいた実効性の高い戦略設計が可能です。
今こそ、「どの市場が伸び、どのエリアに偏りがあったのか」「どんな観光スタイルが選ばれ、何が見過ごされたのか」——これらを客観的に検証し、2025年の戦略に反映させるべき時期なのです。
1. 2024年のインバウンド総括:回復ではなく”成長”への転換

● 年間訪日外国人数:3,686万9,900人(前年比+47.0%)
• 2019年比でも+498万人(過去最多)
• 最も多かったのは中国(776.5万人)、続いて韓国(757.7万人)、台湾(571.7万人)
• 欧米豪ではアメリカ(251.2万人)が最多
この回復を支えたのは、円安による価格競争力、航空路線の復活、コロナ後の旅行欲求の回復などが主因です。
しかし、注目すべきは単なる量の回復ではなく、旅行スタイルの多様化と地域への波及効果が大きく変化し始めたことです。
2. 四半期別で見た市場構成の変化

■ 第1四半期(1-3月):東アジア市場(中国・韓国・台湾)が主導
• 春節需要により、訪日客の大半を東アジア圏が占めた。
• 消費傾向は「物販中心」から「体験・サービス型」へと変化。
• 和歌山の温泉地や奈良の文化体験など、地方体験型観光が注目。
特に地方空港への直行便増加や、チャーター便・クルーズ寄港の拡大が、地方部への誘客を後押ししました。
■ 第2四半期(4-6月):欧米豪市場が回復し、消費額を押し上げる
• アメリカ、オーストラリア、カナダなどからの来訪者が増加。
• ゴールデンウィーク前後の長期滞在需要が旺盛。
• 京都や九州、沖縄などで、高単価なカスタムツアーや長期滞在が好調。
2024年春に延伸された北陸新幹線(金沢~敦賀)も、石川・福井といった中部地方のアクセス向上に貢献し、新たな訪問先の選択肢を広げました。
■ 第3四半期(7-9月):夏のイベント需要で地方も盛況
• 夏のピークに合わせて訪日客数が月間300万人超を記録
• 関西では祇園祭・天神祭・なにわ淀川花火大会などが人気
例年にない猛暑の中でも、花火大会や夏祭りが多数の訪日客を引き付けました。関西では特に大阪の夏イベントに訪日客が集中。京都や奈良などの古都観光も安定して需要があり、宿泊単価の上昇に寄与しました。
■ 第4四半期(10-12月):関西万博プレ・プロモーションの成果も
• 年末に向けて関西圏への関心が高まり、復数回訪問者が増加
• 紅葉観光と年末セールが人気
関西万博(2025年4月開幕)に向けた露出が増えるなか、特にインバウンドリピーター層の再訪が目立ちました。大阪・神戸・京都を巡る広域観光が支持され、現地体験型サービス(着物体験・食文化体験など)への参加率が向上しています。
3. 国別人気観光地・地域別傾向とトレンドの変化

以下は、観光庁および関連報道資料に基づく、訪日客の人気傾向の概略です。
国・地域 | 人気観光地・傾向 |
中国 | 東京、大阪、北海道(テーマパーク・ショッピング) |
韓国 | 東京、福岡、大阪(短期周遊) |
台湾・香港 | 京都、奈良、東京(体験型・文化観光) |
アメリカ | 京都、九州、沖縄(長期滞在・地方志向) |
イギリス | 東京、京都(文化・建築) |
オーストラリア | 沖縄、北海道、九州(自然・アクティビティ) |
エリア | トレンド内容 |
東京・大阪・京都 | 相変わらずの人気3強。中でも新宿・渋谷・梅田などの繁華街は混雑が常態化 |
北海道・福岡・石川 | 欧米豪・リピーター層による訪問が増加し、宿泊者数も好調 |
和歌山・奈良 | 温泉や伝統文化体験への関心はあるが、交通利便性の課題が残る |
屋久島・ジブリパーク | 特殊なテーマや自然を活かした観光地が徐々に浮上 |
また、2024年には以下の新規施設や観光拠点が外国人旅行者の注目を集めました
• 東京ディズニーシー「ファンタジースプリングス」(6月開業)
• ユニバーサル・スタジオ・ジャパン「ドンキーコング」新エリア
• ジブリパーク(愛知県)新エリア「魔女の谷」
• 屋久島や九州地域は自然観光として注目度が高まり、
九州はWSJの“2024年行くべき場所ベスト10”に選出されています。
4. 2024年が教えてくれた「成功と課題」

● 成功したこと
• 円安(対ドル150円前後)が購買意欲を底上げ
• 地方空港やクルーズの再開で、従来届かなかった地域にも波及
• 体験型・カスタム型ツーリズムの価値が評価された
● 見えてきた課題
• ゴールデンルートへの観光客の偏りは依然として深刻
• 地方誘客の成果は「一部地域」では成果が見られたものの、全国平均では依然都市部集中が顕著
• 多言語対応・キャッシュレス化・ワークフォース不足が障壁に
5. 注目すべき3つのトレンド
1. 地方誘客は限定的。次の一手が鍵
訪日客の多くは東京・大阪・京都など従来のゴールデンルートに集中。
一方で、九州・北海道・石川などは一部で宿泊者数が過去最多を更新。本格的な分散化を進めるには、交通・多言語対応・マーケティングの強化が不可欠です。
2.“体験型観光”の加速と商機
爆買いの時代は終わり、着物・茶道・アート・自然体験などのプログラムへの参加が増加。関西では和歌山・奈良・淡路島などが次なる“体験スポット”として注目されつつあります。
3.円安の追い風。だが油断は禁物
2024年の円安(対ドル150円前後)は購買意欲を後押しした一因。今後円高に転じる可能性もある中で、「価格ではなく価値で選ばれる観光地づくり」へのシフトが重要です。
6. 万博開幕と2025年以降の関西戦略:今後の注力ポイント
大阪・関西万博の開幕により、2025年の関西は国内外から大きな観光需要が集まる“特需”の年です。そして当たり前のことですが、短期的な集客だけで終わらせないことが大切です。
しかしまた、需要があるからといって自動的に成果が出るわけではありません。むしろ現在は、以下のような戦略課題が求められています。
● 提言1:訪日客の“次の1泊”を設計する
万博を軸に、奈良・和歌山・神戸などへ回遊させるモデルを構築する必要があります。
特に体験型・文化型の宿泊コンテンツが求められるため、地域資源を活かした宿泊体験の再設計が重要です。
例:奈良の仏教文化、淡路島の食、和歌山のヘルスツーリズムなど
● 提言2:多言語対応と予約動線の最適化
観光スポットや宿泊施設のOTA・SNS・Google Mapsなどの情報は英語・中国語・韓国語の3言語以上で整備を。
また、オンライン予約のハードルを下げることで、万博期以降の“再来訪”を狙った顧客接点づくりが可能です。
● 提言3:円安依存から脱却し、“選ばれる理由”の明確化を
2024年の回復は円安による相対的な価格競争力が大きな要因でしたが、今後円相場が安定に向かえば、「体験価値」で選ばれる地域」への転換が必要となります。
特に「再訪問」需要を意識した差別化や繁忙期以外の集客戦略を持つ、 秋や冬でも楽しめる体験やイベントをコンテンツ化などが大事になってきます。
7. データを作戦に変える:2024年を知ることが、2025年の勝負を決める

22024年のインバウンド回復は、外的要因(円安・航路復活・国際情勢)と日本側の地道なプロモーション努力が噛み合った結果でした。
2025年はさらに万博という“現象”が加わり、関西を中心とした日本の観光業に大きな追い風が吹いており、まさに関西圏は“全方位から注目される年”です。
過去のデータを単なる記録として終わらせ、全体の数字に安心するのではなく、「誰が、どこで、どう過ごしたのか」を深掘りして戦略に落とし込むことが、2025年・大阪万博イヤーの成功を左右します。
これこそが、今この時期に振り返るべき最大の理由であり、インバウンドの成長を持続的に広げていくための第一歩です。
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【参考出典】
• 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計 2024年 年間速報」
• 観光庁「訪日外国人消費動向調査」
• 各地域自治体観光局発表の宿泊統計
• 観光白書・地域別統計(2025年1月~3月発表分)
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